Abstract
理化学研究所 革新知能統合研究センター (AIP) は、2016年4月の創立以来、今年度でプロジェクト開始から10年目を迎えます。本イベントでは、当センター構造的学習チーム (現:動的システム学習チーム) に研究員として所属し活躍した研究者、及び現在の一部メンバーを講演者として、本プロジェクトでの成果の一部を紹介するとともに、その後の展開などについて議論する。
* なお当チームは、2016年に構造的学習チーム (Structured Learning Team) として発足しましたが、2025年7月に動的システム学習チーム (Dynamical Systems Learning Team) へと名称変更を行いました。
場所:
オンライン、及び、日本橋AIPセンター オープンスペース
現地参加を希望する方は、下記のGoogleフォームで受付します (〆切: 9/21 17:00)。
Doorkeeperでの参加申し込みに加え、下記アドレスへアクセスしてご応募ください (最大30名)。
https://forms.gle/NV2TqDqhE4u7uFMQ7
– 現地参加者には 9/26(金) までに入館証をお送りします (所属先等が確認できた方のみ)
# 届かない場合は所属先等が未確認の場合や、定員オーバーなどの理由になりますが、こちらからはお知らせはいたしません。
# またその場合のご質問等にもお答えしかねますので、あらかじめご了承ください。
– アクセス https://www.riken.jp/access/tokyo-map/
<<プログラム>>
13:00-13:20
講演者:河原吉伸 (大阪大学/理研AIP)
タイトル:動的システム学習チームの足跡
概要:本講演では、今後のチームの展望をはさみつつ、動的システム学習チーム(旧:構造的学習チーム)の研究活動の主な足跡をたどり、つづく講演者の話題へとつなげる。
13:20-14:10
講演者:武石直也 (東京大学)
タイトル:複数忠実度を利用した大規模シミュレーションに基づく推論
概要:シミュレーションに基づく推論(SBI)は、観測に合うシミュレーションパラメータを推論する問題である。複雑なシミュレーションのために尤度関数を評価できないことから、近年では深層生成モデルでパラメータ事後分布などを直接学習する方法が注目されている。大規模なシミュレーションでは深層生成モデルの訓練データを多量に用意するのが難しく注意が必要になる。そこで本研究では、もとのシミュレーションより粗いが計算コストの低いシミュレーションからの情報を利用する方法を提案する。また、その方法をΛCDMモデルに基づく宇宙論的N体シミュレーションに適用した例を示す。
14:10-14:50
講演者:坂田逸志 (理研AIP)
タイトル:連続スペクトルに基づく非線形ダイナミクスの構造抽出
概要:Koopman作用素は非線形力学系を無限次元線形作用素として表現する理論的枠組みであり、動的モード分解などの実用的な解析手法の数理的基盤となっている。従来、実データへの適用では離散固有値のみが扱われ、連続スペクトル成分の取り扱いは限定的であった。しかし近年、連続成分を含む複雑なスペクトル構造をデータから計算する手法の進展で、より柔軟にダイナミクスを記述することが可能になった。本講演では、Koopman作用素のもつ連続スペクトルや一般化固有関数をデータから近似する手法を解説するとともに、擬固有関数のクラスタリングを用いて複雑なダイナミクスの構造抽出を行う新しいアプローチについて紹介する。
14:50-15:05
(休憩)
15:05-16:05
講演者:藤井慶輔 (名古屋大学/理研AIP)
タイトル:実世界集団移動における機械学習を用いた順逆解析の発展と民主化
概要:計測技術と機械学習の発展により、スポーツや動物行動などの背後のダイナミクスが不明な実世界集団移動に関してもデータ解析への期待が高まっている。実測データから機械学習を用いて未知の関数や変数を推定することで、データからモデルを推定する逆解析だけでなく、モデルからデータを生成する順解析への応用も期待される。本発表では、画像処理技術を用いたデータの自動取得の最近の話題や、様々な機械学習ベースのプレー評価手法、自動運転シミュレータやスポーツなどの多エージェント軌跡に対する時変介入効果を推定する手法、さらに順逆解析が融合した実データ適合型の強化学習手法などを紹介する。最後に、これらの技術の民主化への取り組みとして、様々なデータの公開、オープンソース解析プラットフォーム、開催したコンペティションなどを紹介し、今後の展望についても議論する。
16:05-16:55
講演者:橋本悠香 (NTT/理研AIP)
タイトル:Deep Koopman-layered Model with Universal Property Based on Toeplitz Matrices
概要:時系列データ解析のため、Toeplitz行列の形で学習可能なパラメータを持つ深層Koopmanモデルを提案する。本モデルは理論保証と柔軟性の両方を兼ね備えている。Toeplitz行列による近似性能とモデルに内在する再生性により、その万能近似性と汎化性を示す。さらに、柔軟性により、非斉次力学系から生じる時系列データにもモデルを適合させることが可能であることを示す。モデルの訓練時には、効率的な計算のためにKrylov部分空間法を適用することが可能であり、これによりKoopman作用素と数値線形代数の間に新たな繋がりを確立する。
16:55-17:00
最後に (河原)
More Information
| Date | September 29, 2025 (Mon) 13:00 - 17:00 |
| URL | https://c5dc59ed978213830355fc8978.doorkeeper.jp/events/189105 |

