2019/10/8 11:01

2019年10月8日
増進堂・受験研究社
理化学研究所革新知能統合研究センター

株式会社増進堂・受験研究社(本社:大阪市西区、代表取締役:岡本明剛)と国立研究開発法人理化学研究所 革新知能統合研究センター(AIP)自然言語理解チーム(東京都中央区、チームリーダー:乾 健太郎)は、中高生向け記述式答案を自動で段階評価するAI技術について、教育現場での運用実証事業のための共同研究を開始します。

PR TIMES 10/8配信

背景と共同研究

従来の自動採点ではマークシート利用や、多肢選択式による回答に対応するものが主流です。あるいは、記述式と言われる自動採点でも、厳格に一意に解が決まる記述式問題やキーワード参照型の採点に制限されるという技術的課題がありました。
このような自動採点では、採点は「それ以外不可」のものとなり、正解か不正解かという二値での評価となることが大半でした。

この度の実証事業では、上記の課題に対して、理研AIPセンターが保有する段階的自動採点技術(※)を実際の教育現場で運用し、今後の教育現場での活用の知見を深めることを目的とします。

実際の教育現場で求められるのは、学習者の回答を段階的に評価することと、そのフィードバックの即時性です。段階的自動採点技術はフィードバックの即時性に寄与する可能性を持っています。学校教育のどこにどのような形でこの技術を導入し、どのように運用すると学習の質が向上するかを調査・分析していきます。

具体的には、
(1)増進堂・受験研究社の豊富な教材を用いることで、教科・科目の特性や出題による自動採点の精度の分析を通じたキャリブレーション
(2)この仕組みを利用した学習者へのフィードバックを学習プログラムに組み込む際のノウハウ構築および運用上の問題点の洗い出し
(3)学習者の学習効率・効果の変化についての調査
(4)採点業務に関わる採点者の負担軽減についての調査
の4点について、主に展開していきます。

理研AIPセンターによる先行研究では人間の採点者の採点結果と高い相関関係のある採点を人工知能が行うことが実証されています。

※理研AIPセンターが保有する技術については、以下の文献をご参照ください。
・水本智也, 磯部順子, 関根聡, 乾健太郎. 採点項目に基づく国語記述式答案の自動採点. 言語処理学会第24回年次大会, pp. 552-555, March 2018.
https://anlp.jp/proceedings/annual_meeting/2018/pdf_dir/P4-17.pdf

・Tomoya Mizumoto, Hiroki Ouchi, Yoriko Isobe, Paul Reisert, Ryo Nagata, Satoshi Sekine, Kentaro Inui. Analytic Score Prediction and Justification Identification in Automated Short Answer Scoring. In Proceedings of the Fourteenth Workshop on Innovative Use of NLP for Building Educational Applications (BEA14), pp. 316-325, August 2019.
https://www.aclweb.org/anthology/W19-4433

なお、この実証事業の研究成果については、理研AIPセンターが今後、広く学術的目的のために公開していくこととなります。

回答データ収集および教室内運用では、四天王寺高等学校・中学校(大阪市天王寺区、学校長:稲葉良一)のご協力を得ます。同校では、学習内容のより深い理解を促し定着をさせる目的として記述式回答のトレーニングを行っていますが、その指導の一環として本実証事業を支援していただきます。学校法人の取り組みとしては日本初となります。

なお、増進堂・受験研究社は今回の四天王寺高等学校・中学校との実証をもとに、実証事業の拡大のために教育団体・学校法人との協働も視野に入れています。

取材に関するお問合せ先

株式会社増進堂・受験研究社
担当:総務部 栗山
TEL:06-6532-1581(代表)
E-mail:info [at] zoshindo.co.jp([at]を@に変えてください)

 

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