2018年7月9日
富士フイルムホールディングス株式会社
理化学研究所
富士フイルムホールディングス株式会社(社長:助野 健児。以下、富士フイルムHD)と国立研究開発法人理化学研究所(以下、理研)は、人工知能(AI:Artificial Intelligence)の基盤技術開発から社会実装までの一貫した研究に取り組む組織として、理研と産業界の連携センター制度※1を活用し、理研の革新知能統合研究センター(以下、AIP※2センター)内に「理研AIP-富士フイルム連携センター」を設置し、本日より研究活動を開始します。
富士フイルムHDは、X線画像など医療画像の解析・認識技術を搭載した医療機器・サービスを提供するメディカルシステム事業を始め、医薬品、バイオCDMO※3、再生医療事業などで構成されるヘルスケア事業を手掛けており、各市場におけるニーズや課題の解決に、画像処理やナノテクノロジーなどの高度な技術で応えています。また、ディスプレイ材料やファインケミカルなどの高機能材料の開発においては、コンピュータを用いたシミュレーションなど計算科学を活用して材料を設計しています。
理研は、2016年4月に文部科学省が進めるAIPプロジェクト※4の実施を担う研究開発拠点として、AIPセンターを開設。革新的なAIの基盤技術の研究開発を進めるとともに、様々な社会課題を解決するための社会実装に向けた技術開発に取り組んでいます。
今回設置した「理研AIP-富士フイルム連携センター」では、富士フイルムHDがこれまでに培った医療画像の解析・認識技術および材料設計に関する知見と、AIPセンターに結集するAI分野の最先端技術の知見を融合させます。富士フイルムHDが事業として手掛けるヘルスケアおよび高機能材料の領域を対象に、イノベーションの創出を目指して、AI技術の活用および革新的な次世代AI基盤技術の開発から社会実装までの一貫した研究を行います。本連携センターでは、以下を主要研究テーマとして、ヘルスケアおよび素材産業をグローバルにリードするAI技術の開発を目指します。
<主要研究テーマ>
(1) 言語化された医学知見※5と画像認識の融合による次世代医療AIに関する研究開発
(2) データ駆動型※6の化合物探索や複合材料設計などマテリアルズ・インフォマティクス※7に関する研究
開発
今後、富士フイルムHDと理研は、本連携センターでの活動を通じて、幅広い分野における最先端の基盤技術を取り込み、AI分野の技術力を高め、社会課題を解決するソリューションの提供に繋げていきます。
あわせて、富士フイルムホールディングス株式会社のウエブもご覧ください。
※1 企業からの提案を基に、理研のセンター内に「連携センター」を設置し、中・長期的な課題に取り組む産業界との包括的な連携の場を提供するため、2007年2月から実施している理研の制度。
※2 Advanced Intelligence Projectの略。
※3 Contract Development & Manufacturing Organizationの略で、薬剤の開発および製造受託を行う組織を指す。薬剤開発初期の細胞 株開発からプロセス開発、安定性試験、治験薬の開発・製造、市販薬の製造までの幅広いサービスを、製薬企業などに対して提供 する組織。
※4 世界最先端の人材を結集し、革新的な人工知能技術を中核として、ビッグデータ・IoT・サイバーセキュリティを統合した研究開発を 行う拠点の新設や、イノベーションを切り開く独創的な研究者等の支援を推進することを目的に、2016年度より開始した文部科学省 の事業。
※6 データを直接分析し、導き出される傾向をまとめあげて結論に繋げる帰納的手法。
※7 データマイニングなどの情報科学を通じて、新材料や代替材料を効率的に探索する取り組み。
掲載情報
日本経済新聞(7/9)、産経新聞(7/9)、化学工業日報(7/10)、SankeiBiz(7/10)、電波新聞(7/24)
<プレスリリース>