2022/1/6 14:28

―量子測定と量子もつれに新たな知見―

理研革新知能統合研究センター数理科学チームの桑原知剛研究員と慶應義塾大学大学院理工学研究科の修士2年湊崇晃、同大学理工学部物理学科の杉本高大助教、齊藤圭司教授らの研究チームは、量子もつれ(※1)と量子測定(※2)の強さの競合によって生じる量子測定誘起相転移(※3)が発現するための新たな条件を発見しました。量子力学的な時間発展を示す多数の粒子系では、一般的に量子もつれが時間的に増大します。一方、量子測定や量子散逸の効果は量子もつれを軽減させます。その結果、量子的な測定頻度を増していくと、量子もつれの増大率に相転移(測定誘起相転移)が起きます。研究チームは、多数の粒子が長距離に渡ってお互いに力を及ぼし合う時、測定誘起相転移が生じるための一般的な条件を導出しました。この発見は、測定誘起相転移に対する新たな知見を与えるのみならず、ノイズのある量子コンピュータにおける量子もつれ生成の頑健性に対しても、有用な知見を与えると期待されます。

本研究成果は 2022年1月5日〔現地時間〕に米国物理学会誌「Physical Review Letters」のオンライン版で公開されました。また、同誌のEditors’ Suggestion およびFeatured in PhysicsではViewpointに選ばれています。

<用語説明>

※1量子もつれ: 二つ以上の粒子の状態が分離できず、一つの粒子の状態が他の状態に依存する量子力学的な状態。古典力学の世界では存在しない特有の状態であり、量子コンピューティングを動作させるための重要な性質です。

※2量子測定:測定することによって、測定装置が指定する状態に波動関数が収縮します。測定装置が位置を測定している場合、波動関数は位置に収縮します。

※3相転移:水が氷になったり水蒸気になったりするように、マクロな状態が変化する現象の総称。

詳細は、慶應義塾大学のホームページをご覧ください。

理化学研究所 広報室

 

 

関連研究室

last updated on 2022/7/13 13:08研究室