iPSコホートと機械学習を用いたアルツハイマー病再構成
-CDiPテクノロジーによる無病社会に向けた孤発性高齢疾患の解読-
理化学研究所革新知能統合研究センター目的指向基盤技術研究グループiPS細胞連携医学的リスク回避チーム(上田修功チームリーダー)の客員主管研究員 井上治久(京都大学iPS細胞研究所(CiRA) 増殖分化機構研究部門 教授)、客員研究員 近藤孝之(CiRA増殖分化機構研究部門 特定拠点講師)、理研バイオリソース研究センターiPS創薬基盤開発チームの矢田祐一郎特別研究員(研究当時)、新潟大学脳研究所遺伝子機能解析学分野の池内健教授らの共同研究グループは、孤発性アルツハイマー病(AD)の患者102人から樹立したiPS細胞からなるiPSコホートを用いて、102人分の大脳皮質神経細胞を作製し、複雑な孤発性ADの病態を細胞種および病態ごとの表現型(病的形質)に分解し、その背景の遺伝子データからADの臨床リアルワールドデータを再構成する「Cellular dissection of polygenicity(CDiP)テクノロジー」を開発しました。
CDiPテクノロジーにより、細胞型・病態の表現型ごとに解析された遺伝的素因を基にした機械学習を通じて、ADコホート研究(ADNIおよびJ-ADNI)の臨床上の病態を再現することに成功しました。本研究成果は、孤発性AD病態の予測および回避への貢献が期待できます。
本研究成果は、2022年2月18日午前1時(日本時間)に英国科学雑誌『Nature Aging』でオンライン掲載されました。
論文名
“Dissection of the polygenic architecture of neuronal Aβ production using a large sample of individual iPSC lines derived from Alzheimer’s disease patients”
詳細は京都大学iPS細胞研究所 CiRA(サイラ)のホームページをご覧ください。。